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勢いだけで文を書く練習。小説ってほどではないか。

「卵」

 卵卵卵、黄色くて透明でぬるぬるしたあれ。焼くとぬるぬるした部分が白くなるあれ。暴動が起きたときによく政治家に投げつけられるあれ。ボブ・ディランがエレキギターを使い始めた頃に投げつけられたあの白い殻の丸っこいやつだよ。あれを俺に投げつけないでくれ、もし目に入って失明したらどうしてくれるんだよ、卵で失明は革新的で新しい、新しいけどさ、そうなったら笑えないじゃないのよ。笑われるけど笑えないってね、他人がなったら俺は大笑いするよ、そりゃあもう、そいつが死にたくなるぐらいの大声でね。下品にあざけるように笑い飛ばしてやるよ。何でお前卵なんて避けられなかったんだよって言いながらな。そのうち食料の不足する時代が訪れて、卵を投げただけでし啓するような時代が来るから、そうなる前にどんどんどんどん投げないといかんよ、今のうちだけ何だから、人に卵投げつけて爆笑できる時代なんてさ。ライブハウスに卵を持って行ってね、酷い演奏されたら投げつけるのよ、そうすれば反省して卵なんて投げつけられないプレイするかもしれないから。頑張ろうね、ライブハウスに卵、これは流行るよ。更に目に入って失明、そうなっちゃったら傷害罪で捕まっちゃうから気をつけなきゃいけない、面白くないし、何より笑われちゃうからね。
 
 もしも卵の殻が麻薬でできていたら、良いカモフラージュになるかもしれない。イースターに麻薬でできた卵なんてあった日には、伝統も何もかもぶち壊しになってしまうからそれは避けなければいけないかもしれない。でも面白そうだから、俺はいつかそれを実践しようと思う。精密に調べても成分が検出しないほどの、巧妙なカモフラージュを施してこれを世にばら撒こうと思う。市販されるようになったら、どうなるだろうか、小さい子供がヤク中になってへらへらしている風景、そんなものが見られるようになるのかもしれない。実に非現実的で嫌な後景だ、そうなってしまうのを阻止しないためにも、卵型でさらに食べられる麻薬の開発を急がなければならない。投げつけて人にぶつけただけで、効果の出る素晴らしいものを。そして世界最悪の麻薬ディーラーとして名を馳せた後、交番に駆け込んでおまわりさんに保護してもらおうと思う。待っているのは豚箱での生活かもしれないし、おまわりさんたちとのトリップパーティーかもしれない。そんな魅力的な卵形麻薬、絶対にはやりっこない。

 
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勢いついでにまだまだ投下します


「流される感情」


 いつだったか忘れたが、私は浮気をしたことがある
たいした罪悪感も無く、相手が傷つくことも気にせず
自分の感情に流されるまま、ただただ男を求めたのだ。


 しかしその浮気は、当時の恋人にばれることもなく
浮気相手の男がぼろぼろになっただけで、全てが終わった。


 自分が流されやすい弱い人間であること、人を傷つけることに
抵抗の無い人間であること、それは私を構成する大事な要素であって
そうでなくなってしまったら、私は私でなくなってしまう。

 自分では自分のことを悪いなんて思っていないから、他人になんと言われても
私は自分の性格を矯正しようなんて、微塵にも思わない。

「あなたは冷たい人ね、私をこんな目にあわせても悪いなんて思っていないでしょ?」
また始まった、これだから自分が一番かわいい女って嫌い
ちょっとした事ですぐ傷ついて、それを人に言いふらすんだから迷惑極まりない
私は、面倒くさそうに答える。感情なんて少しも込めずに。
「ええ、思っていないわ。あなたが自分の事を悪人だと思っていないようにね」
「何で私が悪人なのよ?あなたに言われたくないわ」
「人は誰だって悪人よ、自覚が無いだけで」
「あなた、そういえば自分が許されると思っているの?」
「あら?自分で自分を腹黒いという人間よりはマシだと思うわ
そんなこと無いよ、って言われたいがためにそういう風に
自分で自分を貶すなんて、馬鹿馬鹿しいにも程があるもの」
彼女の肩は、怒りでわなわなと震えている。
「何であんたはそう、私に食って掛かるのよ」
「食って掛かってなんかいないわよ、言いたいことを言っているだけ
 そんな風に感じるなんて、私の言っていることが全部図星なのかしら?」
「なっ……、あんたいい加減にしないと」
彼女は私に向かって、右手を振り上げた。殴るつもりだろうか
私は少しもおくさず、淡々とした口調で言葉を返す。
「なに?手を出したって、あなたの立場が悪くなるだけよ
 私が怪我をして、あなたに慰謝料をもらって、それで終わりね」
私の頬に手が届く直前に、彼女の手は止まった。
「……っ、もう良いわ。あなたと話してても埒が明かない」
彼女は悔しそうに舌打ちをすると、振り返りもせずに去っていく
ヒールを響かせて歩いていく後姿は、悔しさと怒りに満ち溢れていた。
「ふうっ……、何でこう面倒くさいのかしらね、ああいう人は。
 自身に欠点があるのがわかっているなら、それを埋める努力を
 すればいいのに、それをせずに人を妬むなんて、どうかしてる」

 人に対しては攻撃的になるくせに、自分が同じ事をされると腹を立てる
そんなの勝手すぎる。人にされて嫌なことならば、自分もしなければいいのに
文句を言うだけ言って逃げるなんて、自分の非を認めないのと一緒だ。
私が文句を言われるだけならかまわないけど、その文句を他人にまで言うのは
やめてほしい。私個人はどうなってもかまわないけれど、他人にまで自身の
不快な気分をぶつけるのは、どうかしているとしか思えない。


 仕事が出来ても、恋人が出来ても妬まれるなんて、なんて面倒くさいんだろう。
私はただ仕事に集中したいだけなのに、何か事を成すたびに周りから文句を
言われていたのでは、身が持たなくなってしまう。出来る人間を妬む前に
努力をしろと、そういう連中には言ってやりたい。
さらに九本投下、あるだけ全部行きます。



「溶解するもの」

漂っている 果ての無い空間を
見えるもの全て 体を通り抜けてゆく
それが実体なのか、虚像なのか私にはわからない
ただっ広いその空間の中で、一人宴を繰り広げる
燃え尽きぬように 体を維持するために
狂宴に身をゆだね、自我から開放される

その先に見えるものが、禍々しいものであろうと
狂気に取り付かれた私にはわからない

そこには誰もいない
最初から誰もいない

消えてゆく 私も消えてゆく
食物を摂取できぬカゲロウのように
なすすべなく 人生に溶かされてゆく

色のない空間で、一人目を覚ます


「舞台装置」

ぼろきれに身を包み、私はステージに立っている
言葉を発する事もなく、装置のように壇上にたたずむ
身を裂かれ体液が噴出そうとも、姿勢を崩さずに

私は機械 私は人形 痛覚も神経も存在しない
ただそこに存在し 衆目を不快にさせるだけの装置

目的など無い 人生など無い 産まれたときからそこにいる
感情も 理性も 母という生物の胎内に置き忘れてきてしまったから
それのともし火が消えたとき 私は永遠の装置になる

噴出す体液をうつろな目で見つめ 音も無く横たわる
空気は変わることなく 私は無造作に蹴り飛ばされる

白い粉のようなものが 私を隠してゆく


「光陰」

逃げてゆく影の中 追ってくる白い影
逃げてゆく影の中 追ってくる白い影

歪んでいく世界 光の中へ溶けてゆく
歪んでいく人格 極彩色に染まってく

とがったもので貫くと 白い影が追ってくる
緑色を燃やすと、白い影が追ってくる

快感が噴出し 光が全てを曲げてゆく
骨が抜け 闇が全てを飲み込んでゆく

黄色い曲線を粘液に突っ込み
甲高い音を鳴らす楽器を奏でる
壊れて音が出なくなるまで

光をともなう大海に 影をささげよう
影をともなう大海に 光をささげよう

逃げてゆく影の中 追ってくる白い影
逃げてゆく影の中 追ってくる白い影


過去に書きだめたものです

「いきる」

死んでしまう事は かなしいけれど どうしようもないんだよ
それは定められた げんかいだから しかたがないんだよ

寂しいな こころをいやしてくれるものが 音楽しかないんだよ
嬉しいな こころをいやしてくれるものが たくさんあるんだよ

この街では何故か涙が流れるの 大事な人のことを思い出すから
忘れる事は難しいことなのかな あなたの前なのに泣いてしまうよ

あなたの顔を見ていると ごめんねって言ってしまうよ
いつもそばにいてくれるのに 私は違う人のことを考えてる
それでもあなたは許してくれる だから私は好きなんだ

あったかいばしょにいると ありがとうって言いたくなるの
生きている事が楽しくて とても幸せな瞬間だから

いきるのは つらくない いきるのは たのしい


「無為」

闇を消化すれば光が生まれるの?
光を消化すれば闇が生まれるの?

どこまでも突き抜けていくのは、汚い感情ばかり
闇を出しても、どこにぶつけても、光など見えない
ここは檻のようで、物凄く息苦しい
出口のない穴の中 目のない生物は暴れ狂う
自分の正体も そこがどこなのかもわからず


目に見えるものはない 彼の目に光が映る事もない

闇の中で生まれ 闇の中で死ぬ
誰にも知られず 誰の哀れみも受けず
ただ消えていく 消えていく
彼には、生まれた意味も
存在する意味も、なにもない


さらにもう一作追加です

『不味いグミ』


「このグミ、ヤバイ味がする」
 彼女は虹色のグミを食べながら、人形のような顔でそう言った
「ヤバイって、どういう風によ」
「クスリの味。あなたならわかるでしょ?」
 ドラッグなんてやりもしないくせに、そんなことを言うのだ。でも、 実際にクスリの味がするから、俺は好んで食べている。この体に悪そうな、不味い虹色のグミを。
「んなこと、お前は知らなくて良いんだよ」
「じゃあ、どうして付き合ってるの?私たち」
 しょっちゅう同じ質問をされる、疑問を抱くぐらいなら別れれば良い。なのに、彼女はその選択肢を選ばない、いや、選べないのだろう。
「なんとなくだな、なんとなく。強いて言えば、一人が嫌だからか」
 投げやりに答える、どうせまともに聞いちゃいない。
「あたしは別に、一人でも構わないんだけど」
 強がったり本音と逆のことを言うときは、必ず拗ねた表情をする。世間的に見たら彼女は美人だ、俺はそんなことどうでも良いんだが、つれて歩いていると、うらやましがられる。中身を知らないからだ。
「無理なくせに、そんなことを言うな。いつも飲んだくれてるくせに」
「だってあたし、お酒がないとミイラになっちゃうもの」
「俺がいなくても、だろ?」
「そんなことないわ、あなたはお酒より下だもの。あなただって
クスリがなかったら、あたしとしゃべる事も出来ないくせに」
 確かにそうだ、素面ではまともに外も歩けなければ、人と話す事もまともに出来ない。薬が切れたら俺は廃人でしかないのだ
「ったく、酒と人間を比べんなよ」
「クスリと人間を比べたの、誰だっけ?」
「……、うるせえな」
「あたし、寝るわね。あなたも早く寝なさい」
 彼女は横になると、すぐに寝息を立て始めたので、俺は一人、虹色のグミをむさぼった。かみ締めると懐かしい風味が口の中で広がったが、そこから先の快感が訪れる事はなかった
「UKロックはお洒落じゃない……、か。その通りだよ全く。紐解けばみんなドラッグがらみじゃねえか、ヤクの抜けたクラプトンはただの抜け殻だし、ジミヘンはゲロを詰まらせて死んだ。生き残ったのは下らないポップミュージックと、ブライアンのいないストーンズか。やってらんねえよ、俺がいくら主張したところで、お洒落になったロックを信仰する人間は、何もわかっちゃくれない」
 一人で毒づいても何も始まらない、主張したところで世界は変わらない
「うるさいわねえ、私たちの好きな音楽、信じてる音楽がそうじゃなければ良いじゃないの。わからない人には、わからないわ。40年前だって、理解を示さない人間はいた。結局、変わらないのよ」
「俺が幻想を抱いてるだけだって言いたいのか?」
「そうよ、音楽には暗い歴史が付きまとってる、いつの時代も。何故、クラシックの世界に黒人がいないのか、あなたはわかってるの?何故、ブルースやジャズといった音楽が生まれたのか、わかってるの?それらに比べたら、ロックがおしゃれになったことなんて、大したことじゃないわ。現実を知らないから、あなたは幻想を抱くのよ」
 何も言い返せない、俺が世界に対し幻想ばかり抱いているのは事実だ。しかし、彼女はそれを悪いとは言わず、むしろ夢があるといってくれる。酒びたりで、一見人としてはどうしようもない印象を抱かせる彼女だが、言う事には一本筋が通っている、いつも酒が入っているのは、照れ隠しなんだろうか、いずれにせよ、彼女がいなければ俺には生きがいがない。それぐらい、俺にとって大きな存在なのだ。肯定してくれるから。
「でもね、そういう人がいるのは悪くないと思うの、現実ばかり見て、 正論しかいえない大人ばかりだったら、息苦しくてやりきれないもの。あたしにとっては、あなたのような人間がいることは救いなのよ。あなたにとって、あたしの存在が救いであるようにね」
「さっき、なんで付き合ってるの?って聞いたのはどこのどいつだよ」
「あたし。それがどうかした?」
「わかってるなら、なんで聞くんだよ」
「好きって言って欲しいからに決まってるじゃない、馬鹿」
「誰が言うか、んな事」
 結局、いつも手のひらの上で踊らされている、だけどそれも悪くない。しかし、彼女以外の女性にそうされるのは、まっぴらごめんだ。
「もう良い?すっきりしたなら、あたし、もう寝るわ」
「ん、ああ。勝手に寝れば良いだろ」
「じゃあ、ぼやきであたしを起こさないでね。あなたもさっさと寝るのよ」
「眠くなったら、寝るっての、いちいちうるさいな」
 言い返すと、彼女はすでに寝息を立てていた。正直、ここまで寝つきが良い人間は、世界中を探してもそういないだろう。爆音のライブハウスでも、寝てしまうのだからそれには驚くしかない。
『うるさくても、うるさいだけで退屈なら眠くなるわ』
 彼女はそう言っていたが、それはわからなくはない。だからといって、ライブハウスの、あの爆音の中で寝ることなんて俺には出来ない。
「さて、クスリが切れる前に俺も寝るか……」
彼女の寝顔を横目に、俺の意識は混濁していった。

 目を覚ますと、そこに彼女の姿はなく、かすかな残り香と、未開封のグミが一袋置いてあるだけだった。こうして、俺の不毛な時間がまた幕を開ける。いつものように。日が傾いた頃には、村八分の『あやつり人形』を口ずさみながら彼女がやってくるだろう。それを唯一の楽しみにし、俺はグミの袋を開けた。
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